「こけし」を知らないという方は、ほとんどいないのではないでしょうか。
そしてほとんどの方が「知っているけど、詳しく知らない」「知っているけど、興味はない」という方ではないでしょうか。
こけしは江戸時代末期に東北地方の温泉地で生まれたと言われています。
その独特の風貌から、こけしが好きでたまらないというファンも多くいらっしゃいます。
「故人が集めていたこけしを処分したい」という方もいらっしゃると思います。
こけしは非常に高く買取されるものから、買取が難しいものまであります。
どのようなこけしが高く買取をされるのか、また、「買取できないこけし」はどのようにする方法があるのかを分かりやすくご説明したいと思います。
こけしの買取価格を決める3つのポイント
こけしは江戸時代以降、さまざまな地域で作られ、人気のある工人(こけし職人)の作品もでてきました。
そして、昭和から平成にかけて3回のこけしブームがあり、さまざまなタイプのこけしも生まれてきました。
このような流れの中で、たくさんのこけしが作られてきましたが、その中でも以下の点が高く買い取られるこけしのポイントになります。
有名な作家の作品であっても、割れていたり状態の良くないものは、買取価格が低くなってしまったり、買取ができない場合もあります。
【ポイント1】作られた時期
こけしには、代々伝えられた特定の形や模様が特徴となっている「伝統こけし」と、形状にとらわれず自由で新しい形や新しい図柄が特徴の「創作こけし」があります。
比較的高く買取がされるのは戦前につくられた「伝統こけし」です。
戦後になると、ロクロが電動化され制作の効率があがり、生産本数が急激に増加しました。
戦後の高度成長期には第二次こけしブームがおこり、日本全国で展示即売会などが開催されて大量のこけしが販売されました。
流通網も整備され、温泉地のお土産屋だけではなく、日本全国でこけしが購入できるようもなりました。
このように大量生産される前の、いわゆる「戦前につくられたこけし」は希少価値があり、買取金額が高いものがあります。
【ポイント2】工人・作家
伝統こけしをつくる職人を工人(こうじん)と言います。
創作こけしをつくる職人は一般的には作家と呼ばれています。
高く買い取られるこけしは、人気のある工人が戦前につくったこけしが多くありますが、戦後の伝統こけしや創作こけしであっても、工人や作家によって高く買い取られるものもあります。
人気の工人、作家はたくさんいらっしゃいますが、以下にその一部をご紹介します。
- 佐久間浅之助(1847~1906)土湯系
- 西山辨之助(1852~1934)土湯系
- 佐藤松之進(1875~1942)遠刈田系
- 大沼岩蔵 (1876〜1950)鳴子系
- 宮本永吉(1880~1951)鳴子系
- 盛秀太郎(1895~1986)津軽系
- 阿部平四郎(1929~2013)木地山系
【ポイント3】産地
伝統こけしと言われる系統は東北に11系統あります。
それぞれの地域ごとに特徴があり、それぞれの地域で人気の工人がいらっしゃいます。
- 津軽系(青盛 温湯温泉)
- 南部系(岩手 花巻温泉)
- 木地山系(秋田 川連温泉)
- 鳴子系(宮城 鳴子温泉)
- 作並系(宮城 作並温泉)
- 遠刈田系(宮城 遠刈田温泉)
- 弥次郎系(宮城 鎌先温泉)
- 山形系(山形 天童温泉)
- 蔵王高湯系(山形 上山温泉)
- 肘折系(山形 肘折温泉)
- 土湯系(福島 土湯温泉)
こけしの買取事例
当社で買取をした事例をご紹介します。
瀬谷重治工人の作品
買取をさせていただいたものは瀬谷重治工人の作品です。
人気の工人の作品で、お写真のように色褪せやシミなどがほとんど無く保存状態が良いものは買い取りさせていただきます。
井上ゆき子工人の作品
井上ゆき子工人は弥治郎系女流工人で人気のある工人さんです。
一般的には、人気工人の作品であっても保存状態が悪い場合は査定金額が下がるか買取が出来ない場合もあります。
ただ、今回のように全体的に色が薄くなっている状態ではあっても、井上ゆき子工人のような人気工人の作品であり、かつ、「えじこ」のような珍しい作品の場合は買取をさせていただきますので、人気のある工人の作品の場合は色褪せたこけしであっても一度ご相談下さい。
買取が難しいこけし
買取が難しいこけしは、「お土産用として大量に戦後に作られたこけし」です。
こけしの買取価格のポイント1でご説明したように、「戦前に作られたこけし」は数も少なく希少価値がありますが、「戦後に大量に作られたこけし」は買取が難しい場合が多くあります。
戦後に大量につくられたこけしであっても、数十体まとめて数百円から数千円で再販売できる場合もあります。
そのように再販売できるものは多くあるのですが、再販売するために必要な保管費用、運搬費用、販売にかかる人件費などの経費を考えると、買取をするのが難しくなります。
こけしの無料引取り
「故人がせっかく集めたものなので、捨てるのではなく何かの形で使って欲しい」と思われる方も多いと思います。
また、「顔のあるものは捨てるのは気が引ける」と感じられる方もいらっしゃいます。
当社では、買取ができないこけしを無料でお引き取りして、以下のようにリユースしています。
障害福祉施設と提携してネット販売
買取が難しいこけし(戦後に大量に作られたこけし)のほとんどは再販売できたとしても、1体数十円~数百円程度となるものがほとんどです。
ただ、趣味で集められている方の中には、一般的な市場ではほとんど価値がなくても、その方にとっては1,000円~数千円の価値を感じられるこけしもあります。
そういった方へネット販売することでリユースします。
当社では、このネット販売をするための作業を、障がい者福祉施設様へ委託して、売上の一部を業務委託料としてお支払いしています。
コケシと一緒に古本やアクセサリー、古着、レコード・CD、おもちゃ、楽器などもお送りいただけましたら、それらをフリーマーケットで販売して障害者福祉施設様の活動資金の一部にさせていただいております。
封筒や使いかけの切手などもコケシなどと一緒にお送りいただけましたら、障害者福祉施設様から出荷する際に使用させていただきます。
お送りいただいた切手や封筒で節約できた分も障がい者福祉施設様の工賃として貢献させていただきます。
このようにして、引取りさせていただいたこけしをリユースすることに加えて、障がい者施設様へお仕事を依頼することでの社会貢献にも活かせればと考えています。
ガレージセールへの協力
コケシや土鈴と一緒に当社の片付け事業で無料引取りさせていただいた古本や古着などを神奈川県藤沢市にある就労継続支援B型事業所ぱぴる様に提供して、不定期でぱぴる様の事業所内でガレージセールをおこなっております。
当社のメンバーもお手伝いに参加させていただいています。
海外へ輸出
買取が難しいこけし(戦後に大量に作られたこけし)の多くは、ネットで販売をしても売れ残ります。
ネット販売で買い手がつかないものは、海外へ輸出することでリユースします。
当社では、日本国内にある輸出業者様へお渡しするので、どの国に送られるのかは分かりません。
ただ、どの国に行くにしても、新しい持ち主の元で大事にされることで、収集されていた方も喜ばれるのではないかと思います。
お問い合わせ
「こけしを売りたい」「こけしを引き取って欲しい」という方はお気軽にお問い合わせください。